どうして障害者が主役のテレビ番組は、「さあ、泣いて下さい」という押し付けがましい演出が、見え見えなの? 障害者の人生って、感動的じゃないといけないの? いわゆる“健常者”と同様に、アホなことをしたら、「お前アホだな」って明るく笑えばいいんじゃないの? テレビ業界に就職する前から、私はずーっとそれが不思議でならなかった。
あの巨大番組の真裏から、関西大に舞台を移し
そんな思いを持っていた私が、この夏、我が意を得たり!と心中で叫んだ番組がある。今年8月の日テレ系『24時間テレビ』のほぼクライマックスの時間に、Eテレ(NHK教育)が《障害者番組に感動は必要か》という挑戦的なテーマのスタジオ生討論を真裏でぶつけ、話題を呼んだのだ。異彩を放つレギュラー番組『バリバラ』で、「感動ポルノ」をキーワードに尖った議論を繰り広げてみせた。
で、そこから更に突っ込む延長戦が、いよいよ明日、公開討論イベントという形で敢行される。(11月13日 14:30-17:30/関西大学千里山キャンパス「地方の時代映像祭」ワークショップ④)
登壇するのは、「バリバラ」のレギュラー出演者である玉木幸則さん(脳性まひ)&岡本真希さん(先天性四肢欠損症)、同番組のプロデューサー、フリージャーナリスト等。で、司会が私。思い入れが強すぎて、うまく仕切れるか心配だ。あの日の放送を見そこねた人の為に、番組のエッセンスを振り返りながら、3時間に渡って本音炸裂トーク(←こういう表現はよく見るが、今回はホントに凄そう)をする。それこそ、“24時間”ぐらい欲しい話だが。
実は8月の両番組の最中&直後、私はツイッターで以下の様につぶやいていた。
「24時間テレビ」に拍手、「バリバラ」に大拍手!
19~20時台に、チラッと『24時間テレビ』見て消した。相変わらず、「泣かせねばならぬ」という強迫観念が、取材者の根っこにある善意を自ら歪めてしまっている。
で、皆さ~ん、コレ↓いよいよ明晩ですヨ~! #Eテレ #baribara https://t.co/UUF5LLCdvZ— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月27日
初日、演出が嫌で消した「24時間テレビ」だが、仕事柄やっぱ少しは見ねばと思い直し、所々視聴した。勿論、Eテレ「検証『障害者×感動』の方程式」の時は、そっちにチャンネル変えたけど。その素直な感想⇒【24時間テレビに拍手、「バリバラ」に大拍手!】 #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
続◆「バリバラ」は期待以上だった。何がいいって、根っこが“アンチ24時間”じゃなくて、「24時間テレビ(的なTV表現)がどうすれば改善できるか」を真剣に論じてるところ。他番組の今後をこんなに案じてる番組は、日本のテレビ史上初ではないか? #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
続◆両方の番組に生出演という大技をやってのけた大橋グレースさん。その大橋さんと、妻は「24時間テレビ」で/夫は「バリバラ」で共演という痛快な分業を演じた大島美幸・鈴木おさむ夫妻。欠席裁判にはしないぞ、というEテレ制作陣のキャスティングに拍手。 #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
続◆この建設的な問題提起を、両番組の対立と見ることは避けよう。例えば昨夜のJ-CASTニュースの見出し《「24時間テレビ」は障害者の「感動ポルノ」/裏番組のNHK生「バリバラ」に大反響》⇒前半の直結表現は、バリバラが最も注意深く避けてた部分。 #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
続◆実際、当の大橋グレースさんを描いた「24時間テレビ」のVTRは、イッテQのギャグネタを真似して遊ぶ企画で、“お涙頂戴”からの脱却努力は感じられた。(MCが、普通にいじらず「面白かったです!面白かった!」と力説してたのはアチャ~だけど。) #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
続◆現にあれだけ募金を集めていること、参加した人達(全員でなくとも)の目標や励みにもきっとなっているだろうこと、こういう生き方をしている人の存在をとにかく知らしめてくれること。それらは、「24時間テレビ」の功績としてちゃんと評価されるべき。 #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
続◆その上で、(昨日もツイートしたが)そういう番組制作者の《根っこの善意》を、外形的に歪めてしまっている「泣かさねば」という強迫観念。その核心をゆさぶったバリバラの議論は、これからも深めてほしい。日テレがトークの続編をやったっていいと思う。 #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
明日、たぶん論点にのぼりそうなこと
…というわけで、“トークの続編”を日テレならぬ「地方の時代映像祭」が買って出ることになった。この流れを汲んで、明日のステージも《Eテレvs日テレ》といった浅薄な構図にはしない。
* どうしてTVドラマの中の障害者は主役級ばかりで、チョイ役や通行人の中にいないの?
* 相模原殺傷事件で突きつけられた、本当の問いは何なの?
* 出生前診断で障害児が生まれるかも、と言われたら、あなたはどうするの?
* こんな番組作ってる制作陣だけど、異動でこの番組担当になった当初はどうだったの?
―――等々、オープンなイベントでこんなに公然と論じられた前例あるか!?という程の展開になる《かも》しれない。台本が無いから、やってみないとわからんが。
入場無料、事前申込不要なので、興味のある方は是非ご来場を!