日大タックル事件 学生会見を見る人・取材する人へ

日本大学アメリカンフットボール部の選手による悪質な反則タックルについて、選手本人が昨日記者会見しました。

その会見の約1時間【前】に、下村が連続投稿したTwitterをまとめ再掲します。

 

会見が終わった【後】で読んでもあまり意味はなさそうですが、実は下村は「今後の様々な事件の当事者会見に当てはまる一般化した書き方」(特に②)を意識しているので、今後のために載せておきます。(スタッフ坂本)

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 日大 タックル 学生会見を見る前に

①既に精神的動揺を抱えている若者が、フラッシュの嵐と無数のレンズの凝視、銃口のようなマイクの先端を自分に向けられる。その異常さをリアルに想像し、彼の言動が仮に首をかしげるものであっても、それが彼の《普段》の人格の反映だとは即断しないこと。

 

②なぜ自ら会見など開くんだ?と疑問を感じる人へ⇒ 一般人が会見を開く理由のほとんどは、「何か言いたいから」ではない。「押し寄せる報道陣に個別対応してたら生活が成り立たないので、1回にまとめたいから」やむなく会見するのだ。まず、そこに理解を。

 

③「けしからんヤツ」とも「気の毒なヤツ」とも、一切の先入観を持たずに傾聴を。「監督の指示通りやった」と証言しても、「監督の指示を拡大解釈してしまった」と懺悔しても、何を聞いても「ついに真相判明!」と即断しないこと。これは、正解発表会に非ず。

 

④「この後いよいよ真相が明らかに」とか「どんな事実が明かされるのか」とかのキャスターやリポーターの言葉に惑わされないこと。この会見でわかるのは「真相」「事実」ではまだなく、「解明への有力な一材料」。伝え手が熱狂する時ほど、受け手は冷静に。

 

 

 日大 タックル 学生会見に出席する記者さんへ

[1] 今日の主役学生は、既にタックル実行直後から泣いていたと言われるほど、精神的に動揺している。客観性のある証言を彼から引き出したかったら、なんとか彼の緊張をほぐす努力を。普段より穏やかな口調で、柔らかい表情で、ゆっくり質問する、等。

 

[2] 自分は断罪者ではなく、単なる質問者であることを忘れずに。失敗者から情報を得る時は、《土下座してでも教訓を教えてもらう》のが社会の為。会見で会長を吊し上げ、ついにご本人の自殺という結末に至った浅田農産事件の反省を、今こそ思い出せ!

<浅田農産事件とは>

鳥インフルエンザに見る、無防備で正直な会見の失敗(『広報会議』2013年10月号)

 

<同事件当時の下村発信アーカイブ>

鳥インフルエンザの浅田農産会見を敢えて評価する(下村・旧公式サイト 2004.3.3)

浅田農産会長の自殺と、メディアの自殺(下村・旧公式サイト 2004.3.9)

浅田農産会長自殺で、報道批判の声続々 (TBSラジオ『下村健一の眼のツケドコロ』2004.3.13)

浅田農産会長の自殺は防げなかったのか(『マル激トーク・オン・ディマンド』2004.3.15)

 

 

ありがとうございます。まさに、そのつもりで書きました。会見後に書くと結果論だと思われてしまうので、《結果がどうであろうと》事前に持つべき心構えとして。

同感。それでも切り取って歪める人、過剰反応する人は出るでしょうが、でもそうした不毛なリアクションを最も少なく抑えられる、(今の彼の立場で行い得る)ベストな会見だったと思います。

 

●以上のツイートを見た朝日新聞から取材が来て、今朝の社会面トップの同会見を報じる記事中に、下村の以下コメントが掲載されました。

「若者矢面 日大反省を」

会見は、日本記者クラブ内で代理人弁護士が同席して開かれた。同クラブは通常、弁護士の同席を認めないが、今回は選手が20歳になったばかりの学生で、今後の責任問題を考慮して認めたという。同クラブは「今回だけの特例」とした。

元TBSキャスターで会見取材の経験が多い下村健一・白鴎大客員教授(57)は「問題の当事者として動揺する若者を矢面に立たせたことを、日大は教育機関として反省してほしい。もっと早く問題の全貌を発表していれば、向かい風に学生一人で立ち向かわせることにはならなかった」と話した。