子ども達がCM作り。地方創生とメディアリテラシーの一石二鳥

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地元の名物カブトガニのマスコットキャラクターに、失恋して落ち込む中学生。自分たちが暮らす瀬戸内の島の「地元民も知らない風景」を紹介しようとチャレンジするチーム。地域の活性化に打ち込む若い夫婦への、とても柔らかい雰囲気の密着インタビュー。古墳の丘から転げ落ち、逆回転でまた頂上に立つヤンチャ少年———。

続々孵化する、発想豊かな動画の卵たち

岡山県笠岡市の公立小中学校の子達(平均4~6人×9チーム)がこの夏から取り組んでいる「自分の学区域の紹介CM作り」は、いよいよ先日、各チームの試作品中間発表会まで辿り着いた。ビデオカメラやマイクは使わず、市の教育委員会から各班に1台ずつ配付されたタブレット(写真参照/水色のボードみたいな物)を使うだけの撮影・編集。さすが現代の子供たちは、ゲームを操る様な感覚で、予想以上のクオリティの多彩な動画を持ち寄ってくれた。

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各班約1分の試作品を見ては、「このCMで1番伝えたいのは、どういう魅力?」「その狙いは、このカメラワークだと伝わりにくくないかな?」「このシーンって、本当に必要?」等々、他の班の子達や私の質問に制作チームが答える形で、いわば全員参加の編集会議が進む。そこで見えて来た改善点をこれから各チームが修正し、来年1月に一般市民に公開の「CMで伝える地域自慢コンテスト」で披露することを目標にしている。

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全校実現を目指して…広がるか「笠岡モデル」

CM制作というきっかけを得て、身の回りにいながら繋がる機会がなかった大人たちと出会い、事物を再認識すること。これは、参加している子達にとっては貴重な体験で、いわば次世代人材育成という最も根幹の部分の《地方創生授業》と言える。と同時に、動画発信者側の立場を体験をすることで、普段のテレビやインターネットからの情報の受け取り方が格段に進化する、最強の《メディアリテラシー教室》でもある。

今年度の参加は9校だが、笠岡市教委はこのプロジェクトを(各年度の予算が通れば)これから3年計画で展開し、市内の全小中学校を巻き込もうと意気込んでいる。素晴らしいチャレンジだ。この一石二鳥が上手く行ったら、「笠岡モデル」として来年度以降、各地の自治体にノウハウの“輸出”が可能かもしれない。私もあと2年、楽しく付き合わせて貰うつもりだ。

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書いた人 下村健一 22 Articles
TBS報道局アナ(スペースJ、等)を15年務めた後、フリーキャスター(筑紫哲也NEWS23、サタデーずばッと、等)10年。その後、内閣審議官(2年任期満了後は民間契約アドバイザー)として計約900日、民主・自民の3政権で政府の情報発信に従事。現在は慶應義塾大学、関西大学、白鴎大学で教鞭をとる他、小学教科書の執筆など、幅広い年代の子ども達の教育に携わる。世間の難しいコミュニケーションを橋渡しする《コミュニケーター》として働くことがモットー。