全国で授業迫る! 教材に使える時事問題と“4つのギモン”

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初耳の情報に出会った時に、簡単に振り回されない為につぶやくべき“4つのギモン”の言葉。
《まだわからないよね?》で一旦止めて、
《事実かな、意見・印象かな?》と仕分けして、
《他の見え方もないかな?》と思い込みを外して、
《隠れているものはないかな?》と窓を広げる。
その上でもう一度、今後の続報に対し柔軟でいられるように
《まだわからないよね?》と自戒する。

「SMAP解散」並みに子ども達でもわかるニュースは?

この4つのチェックポイントをおまじないのように唱えるだけで、インターネットの情報洪水に溺れるリスクはだいぶ減らすことができる。それを小学5年生に分かりやすく説明した「想像力のスイッチを入れよう」という国語の授業が、今年度もまもなく(光村図書の教科書を採択している学校で)全国一斉に始まる。

多くの学校では、3学期の初め頃からこの単元に入るが、その時期が近付いて、筆者である私のホームページには熱心な小学校の先生たちから、今年もチラホラと「授業の進め方について」の問い合わせが舞い込み始めた。

特に多いのは、「現実の時事問題を教材にして“4つのギモン”を子供たちに理解させたい。何のテーマが良いだろうか」というご相談。学校内の出来事や架空の話で教材を作るのなら簡単だが、実社会のニュースと教室を結び付けたい、というチャレンジ精神は、素晴らしいと思う。しかし、小学生にも興味があって、特別な予備知識の勉強が要らない事例を見つけることに、苦労されている先生が少なくないようだ。

この教科書が検定合格後初めての授業を迎えた昨年度(=今年1月)は、ちょうど同じタイミングで「SMAP解散説が突然流れて、しばらくして本人たちが直接否定」という恰好の教材が降って湧いた。私もすぐに、教室で使ってもらえる動画クリップ教材をサイトで公開したが、今年度だったら何だろうか? ニュースはナマ物なので、今の時点で例示してもそれが授業当日の時点でまだ使えるかどうかは分からないが、先生方のヒントとしていくつか並べてみると―――

国語の時間でも、朝や帰りの会でも

●東京オリンピック競技会場問題

色んな会場候補地を推薦する人たちが、それぞれに「ここが1番良い」「ここしかない」と主張していて、その人の言うことだけ聞くと「なるほど、その通りだな」とつい納得しそうになるけれど…《まだわからないよね?》

すぐ自分の意見を固めないで、他の“3つのギモン”を使いながらちゃんと考えてみよう。

●福島からの避難児童へのイジメ問題(分析以前に、「そもそもいじめはダメ」という指導は当然の前提として)

イジメっ子たちは、「原発事故で逃げてきたヤツには、放射能がついている」と言って仲間外れにするけれど…《事実かな?意見・印象かな?》

「避難してきた人たちは放射能汚染されているから、近付いてはいけない」という様な報道や科学者の発表が、1件でも見つかるか探してみよう。見つからなければ、イジメっ子たちの言っていることは、ただの印象にすぎないんじゃないの?

●トランプ大統領当選

「イスラム教徒は入国禁止」とか、「メキシコとの国境に壁を作る」とか、選挙期間中の発言でとても過激な人のように見えるけれど…《他の見え方もないかな?》

そういう発言をしたことは事実だけど、なんだか演技のオーバーな役者のようにも見えないかな? もしかしたら本気で言ってるんじゃなくて、選挙で目立つためにわざと本心より過激な言葉を使った作戦だったということはないかな。「当選」という選挙の目的を果たした後も、同じ強い調子を続けるかどうか、まだ決めつけずによく見ていこう。

●高齢者ドライバーによる交通事故多発問題

「高齢者の運転は危ないから、運転免許証を返納せよ」って言うけれど、それが中々実現しないのはなぜだろう。免許証を返さないお年寄りは、ただのわがままな頑固者なのかな? このニュースでは、スポットライトの光が当たっているのは「車を運転している高齢者」ばかりだけれど…《隠れているものはないかな?》

スポットライトの周囲の暗がりには、当然「車を運転しない高齢者」たちもいるよね。じゃあ、そういう人たちはどうやって日常生活の中でお出かけをしているんだろう? そこに目を向ければ、ただ「免許を返納せよ」とばかり言うんじゃなくて、「安心して返納できるように、お年寄りが利用する他の交通手段をもっと使いやすくしなくちゃ」という課題が見えてくるよね。

皆で情報交換して、より良い授業を!

img_sho-kokugo_5―――光村の教科書では、「人気サッカーチームの次期監督の噂」という架空の1本のケースに“4つのギモン”全てを適用していったけれど、上記の様に個々の具体的なニュースに1番ピタッとすぐ思い浮かぶギモンを1つだけ当てはめていけば、割と簡単に教材のヒントは思い浮かべることができる。

小5担当の先生方へ。実際の授業が近付いた時点で、子供たちでも知っているニュースの中から、この要領で材料を拾ってみて下さい。また、「このネタを使ったら?」というアイデアがありましたら、こちらまでお知らせください。このサイトで共有させて頂きます。

【参考動画】 「この学びを定着させるために〜朝・帰りの会で3分の実践を」

【参考文献】 下村健一著 『10代からの情報キャッチボール入門』(岩波書店)

書いた人 下村健一 24 Articles
若手メディア人の勉強会「令和メディア研究所」主宰。インターネットメディア協会(JIMA)リテラシー担当理事。TBS報道局アナ(スペースJ、等)15年、フリーキャスター(筑紫哲也NEWS23、サタデーずばッと、等)10年。その後、内閣審議官等のポストで計約900日、民主・自民の3政権で首相官邸の情報発信に従事。東京大学客員助教授、慶應義塾大学特別招聘教授、関西大学特任教授などを経て、現在は白鴎大学特任教授。小学教科書の執筆から企業(新人〜経営者)研修まで、幅広い年代のメディア・情報教育に携わる。

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